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指輪物語

アンティークショップや古着屋さんが大好きで、
私が普段、身に付けるものも古着等を自分なりにアレンジしたり、
リメイクしたりして着ることが多くて、
アクセサリーやスカーフ、帽子も外出のときは必ずといっていいほど身につけています。

私が住んでいる街にもいろんなアンティークショップや古着屋さんがあるのだけど、
普段はあまりいかない古着屋さんへ、なんとなくふらりと入ってみました。

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なんとも可愛い、王冠と手、入っている石もハートに見える指輪!!


すっかり一目ぼれして購入してから
お店の方に聞くと、この指輪のデザインはアイリッシュリングだとか。


Claddagh Ringクラダーリング (クラダリング)

クラダーリングの歴史とフォークロア

王冠を戴いたハートとそれを両側から支える手---という独特なデザインのクラダーリング。「Let Love and Friendship Reign.」(愛と友情に支配させよ。)がそのモットーで、アイルランドでは、友情のしるしとして交換されたり、古くは結婚指輪として伝えられてきました。ハートは愛(Love)、王冠は忠誠(Loyalty)、両手は友情(Friendship)を象徴すると言われますが、このユニークな指輪の最初の考案者は誰だったのか、今では謎のヴェールに覆われています。

アイルランド西部の港町ゴールウェイに隣接したクラダーという小さな漁村出身のリチャード・ジョイスという男が、海賊に拉致され奴隷として売られた先のアルジェリアで金細工の技術を仕込まれ、後に解放されて舞い戻ったゴールウェイで金細工師として開業、1690年頃にこの指輪を作り上げて英国王ウィリアム3世に献上したのが始まりだと、今では一般に伝えられていますが、ゴールウェイの町にはその100年以上前から、クラダーリングに関する幾つかの伝説があり、そのほとんどが既婚女性の貞淑ぶりや良妻賢母ぶりを称える話です。

クラダーリングにまつわる最も有名な伝説の女性は、マーガレット・ジョイスでしょう。ゴールウェイ地方の古い家柄ジョイス一族の娘マーガレットは、川で出会った男と結婚するという予言に自分の運命を委ね、ゴールウェイに来ていたスペイン人豪商ドミンゴ・デ・ローナと結婚してスペインに渡りました。年の離れた夫はやがて死に、若くして相続した遺産とともにアイルランドに戻ってきたマーガレットは、その財産を使ってアイルランド西部地方に多くの橋を架けました。1596年、ゴールウェイ市長オリヴァー・フレンチと再婚したマーガレットの身に、その不思議な出来事は起こりました。屋外で座っていた彼女の膝に(一説では胸の谷間に)、彼女の徳を称える天からの褒美として、上空を飛んでいたワシがひとつの黄金のクラダーリングを落としていったのです・・・。この伝説が生まれた16世紀末には既に、クラダーリングはゴールウェイの地方でよく知られていたわけです。(参考文献:Sean McMahon, The Story of the Claddagh Ring, Cork 1997)

母から最初に嫁に行く娘へと代々受け継がれる嫁入り道具のようなものとして、ゴールウェイを中心とするアイルランド西部地方に中世以来伝わる---というのが、クラダーリングの本来の姿。娘の家がもし裕福だったら、結婚前に娘の指に合わせて新しいクラダーリングを誂えることもあったでしょうが、多くの場合は古い言い習わしに従って、母が使っていたクラダーリングを娘に譲って持たせたことでしょう。そうすると、たとえば母が左手薬指にはめていた指輪が、娘の左手薬指にもちょうど良くはまるとは限らないわけです。ですからクラダーリングは左手薬指にはめなければならないという決まり事はなく、具合良くはまる指ならどの指でも良しとされていたのでしょう。

契約社会だった古代ローマでは、男性は黄金または鉄製の印章付きの大きな指輪を、左手薬指にはめる習慣でした。帝政期になると、妻に家庭を任せるという契約のしるしに、自分の印章指輪を婚約指輪として将来の結婚相手の少女に与えるようになったと言われます。(婚約指輪が結婚指輪よりも先にあったのです。)左手薬指というのは、元来は男性についての決まり事でした。ローマ帝国の拡大につれてケルト人やゲルマン人の諸部族でも、男の家族が嫁取りの際に娘の家族に贈る家畜などの資産の中に、指輪が含まれるようになりました。やがて9世紀にはキリスト教会によって指輪が結婚の証拠とみなされるようになり、13世紀には男女が結婚指輪を交換する習慣も一般化していたそうです。中世の結婚指輪のデザインは、王冠を戴いたハート、または2つのハートが寄り添った上に1つの王冠を被せたもの、2つの手が握り合ったデザインなど、クラダーリングにも通じるデザインの指輪が、英国やドイツ等アイルランド以外の地域からも多く出ています。(参考文献:浜本隆志『指輪の文化史』白水社1999年)



ふとしたタイミングで出会った、この可愛い指輪にはこんな素敵な物語があったのですね♪

アンティークや古着を選ぶ基準って私にとっては
これが好きっていう感覚だけです。

なにか特別な知識があるわけではありませんが、こうした一期一会で
知らなかったことを知る事が出来るのも、すごく楽しいですよね♪

そしてこの指輪からまた新たに妄想、いえいえ、イマジネーションが溢れてきて
私の中にも物語が生まれてきます。
by lorem | 2012-01-02 13:14 | ヴィンテージVintage

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